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スノーシュー・楽しみ方
スノーシューイングは、誰にも簡単にできてしまいますが、それだけに危険も秘めています。散歩のような手軽さの中に危険があり、それゆえに高度に知的なゲームを味わうような楽しさがあります。しかし、それを自己流で始めてしまいますと、スノーシューイングが単なる散歩で終わってしまう可能性があるのです。
もちろん散歩には脳を刺激する不思議な効用があります。アリストテレスは、散歩すると知の働き方が活発になることを発見し、散歩しながら学問を論じましたが、ただ漫然とスノーシューで散歩するだけでは、スノーシューイングの面白さの半分も体験できません。
「無知は無敵」といいます。ドライバーが、どんな乱暴な車の運転をしても、熟睡していたらハラハラしません。けれど寝てなければ乱暴な運転に恐怖を味わうことでしょう。 これと同じように、どんなに危険なことをしていても危険であることを知らなければ、手に汗握ることもありません。つまり知恵を絞ることも対策を立てることもないのです。無知は、人間の感覚を鈍感にさせてしまいます。
これは、スノーシューイングにも言えます。自然に対して無知でいると面白さは半減します。スリルを感じる感覚も、手に汗握る感覚も味わえないからです。つまり第七章のテーマである楽しいスノーシューイングを行うためには、何が危険であるか、何が安全であるかを知ることが大切です。楽しいスノーシューイングを行うには、自然を知り危険を予知する能力が大切になってきます。
ここで質問をします。大草原に迷子になったらしい小さな子キツネがいたとします。子ギツネは、人なつっこくあなたにすり寄ってきました。かわいいなあと思ったあなたは、 (1)エサを与えますか? (2)写真を撮りますか? (3)抱きあげて安全な場所に移動しますか? どのような行動をとりますか?
こういうケースで、どのような行動をとるかは、自然に対する知識の有無で大幅に変わってきます。知識が無ければ、(1)(2)(3)のどの行動も自然にとれるでしょう。どの行動も人間の持つ自然な感情から出る行動だからです。けれど、キツネの生態について多少知識があれば、(3)の「抱く」という行為だけは、ちょっと出来にくいものです。
キツネは、不潔なことで有名です。キツネの巣穴は、エサとなった動物の死骸が散乱し、ウシの糞など何でも出てきます。タヌキもアナグマでは、こういう事はありません。 その巣穴で子を産み育てることを知っていれば、少なくとも子ギツネにさわりたいという想いは無くなります。第一、体臭が半端ではありません。そのうえキツネにはエキノコックスという恐ろしい寄生虫が感染している可能性もあります。 しかし、普通の人たちは、そんなにキツネに詳しいわけではありません。だから、ついつい子ギツネに近寄ってしまいます。しかし、安易に子ギツネに近づくのは危険なのです。それほど自然というものは奥が深い。 けれど、これを本などで独学で学ぼうとしても難しいものです。ですから最初は、教室に参加して少しずつ楽しみながら自然の知識を増やしていった方が無難でしょう。
スノーシューイングを行えば、初心者コースで必ず見つけるのがキツネの足跡です。キツネの足跡は、どちらかというと初心者コースに多く見られるものですが、その理由もスノーシュー教室で教えてくれると思います。また、自然教室では、キツネの足跡からキツネの生態を解明してくれると思います。たかが足跡くらいでも驚くほどキツネの生態について分析できます。この論理的にものを考える癖が大切で、その力を磨くことが大切です。
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